A practical joke, a prank
















俺が天井に潜んでからすぐに誰かが入ってくる気配がした。


プリスキンも気がついたらしく目を覚まし、狸寝入りをはじめた。


俺は念のためにM9を入り口に向かって構え照準を合わせる。


プシュッ


扉から入ってきたのは先ほど連絡橋に向かったはずの雷電だった。


手には何故か銃を構え、気配を消しながらゆっくりとプリスキンに向かって歩いて行く。


(…緊張している気配はするが殺気は無い。いったい何をするつもりなんだ?)


とりあえず殺気が無いことを確認した俺は事の成り行きを静観することにした。
プリスキンも同じ結論に達したらしく、狸寝入りを続けている。


雷電は構えを解かないまま歩き続け、プリスキンを狙える位置につくとピタリとその足を止めた。
そしてそのまま銃の照準をプリスキンに合わせ…


「やめておけ、若いの。」


た所でプリスキンが目を開き銃を雷電に向けた。


ぱすん。


(撃ったよ!!)


雷電は制止するプリスキンの言葉に表情一つ変えずにそのまま引き金を引いた。


あわててプリスキンの様子を伺うと…プリスキンは寝ていた。


額にはM9のものと思われる弾?注射?が刺さっていて、口からは本気のものと思われる軽いイビキが聞こえてくる。


そして雷電は何を思ったのか階段を降りきると、匍匐前進でプリスキンに近寄るとおもむろにデジカメを取り出し、額にM9の弾が刺さったままのプリスキンを激写しはじめた。


(…………そんなにからかわれたのが気に入らなかったのか?)


そして雷電は満足したのか13枚ほど撮り終えると天井付近を気にしつつ部屋から去っていった。


(…………今のは絶対俺を探してたよな。)


ターゲットの一人に俺も入っていたらしい。
どうやら雷電は先ほどさんざん俺たちにからかわれたのが相当気に食わなかったようだ。


(今度会うときは気をつけよう。)


俺はそう心に誓うと中間報告書をまとめるべく作業に取り掛かった。








1ヵ月後






「さて、今日の夕飯は何にしようかな。」


俺は夕飯の食材を買うため街の雑踏を縫うように歩いていた。


最近は俺がわざわざ乗り込むほど厄介な依頼も無く、平穏な毎日を過ごしている。


と言うよりも、あの1ヶ月前の事件がでかすぎただけのような気もするがな。


そして俺が平和をかみしめつつ歩いていると路地裏から伸びた手に突然腕を掴まれ路地裏へと引きずり込まれた。


(あぁっ!!おれの平和がっ!!)


奴は片手で俺の両腕を押さえ、もう片方の手で俺の口を塞ぐと後ろ向きのまま俺を路地裏の奥へと引きずっていく。


「ぁぁぇ!!(離せ!!)」


必死に腕を振り解こうと抵抗するが腕はまったく離れる気配を見せない。


(いくら白兵戦が弱い俺とはいえ、そこらへんのちんぴらどもに負けるほど俺は弱くない…ということはコイツプロか?)


突然おとなしくなった俺を不審がりもせず男(俺より背が高くて力が強い人間は女と認めん)は俺を引きずり続ける。


と、人目がつかなくなる場所に着くと男はおもむろに俺の耳元で囁いた。
…俺は男に囁かれてもうれしくない。
がしかし、その声に俺は心底驚くこととなる。


「今から手を離すが騒ぐなよ」




……

………聞き覚えがものすごくあるのですが。


拘束を解かれた俺が振り返ったときに俺の目の前に立っていたのは…



予想通りスネークだった。


「…ずいぶん趣味の悪いいたずらだな。」


「まぁ、そう言うな。」


そういってタバコを吸いはじめたスネークの格好は明らかにおかしかった。
確かにある場所ではあまりおかしくも無く、最高の服装と言えよう。
が、ここではあまりにも不釣合いな格好だった。


「街中でスニーキングスーツなんぞ着るな!!」
「なに、ちょっと野暮用でな。」


街中で話しかけられなくて良かった。
はっきり言って今のスネークに呼び止められでもしたら俺もすぐに変人の仲間入りさせられていただろう。しかも強制で。


「で、何の用なんだ?」


壁にもたれながらそう言うとスネークは心底楽しそうに口元だけ歪めた。


「写真のデータはどこだ?」


「は?」


「雷電から俺の写真のデータが来ただろう?」


口元は笑っているが…笑っているが


目がマジだよ。


「いや、確かに雷電からデータは届いたがなんかスネークの復讐が怖くて全部消去した。おれは伝説の英雄様を敵に回す根性なんて無いし。」


俺がそう言うとスネークはタバコを地面に落とし踏み消しつつ更に質問をしてきた。


「じゃぁ、雷電を知らないか?」


またもや笑顔(口元限定)で尋ねるがはっきり言ってタバコを踏み消す足が…ものすごく力強いというか、憎しみが篭っているというか…
とにかく怖い。


「お…俺っ…し、知らないっ!!。というか雷電からデータが送られてきたのが最後でそれ以来連絡取ってないしっ!!」


半ば泣きつつ壁伝いにスネークから遠ざかろうとするがそれに合わせてスネークも移動してくる。


(怖っ!!後で覚えてろよ雷電!!)


いつの間にか袋小路に来ていたらしく、スネークは俺の顔の脇の壁にガッと腕をつくと俺にかぶさるようにして話しかけてきた。

「そうか、知らないか。だがしかし、お前なら雷電の居場所を掴むぐらいわけないな?なにせ世界最高峰の情報屋だからな。」


スネークはそう言うと「ん?どうだ?」と笑顔(以下略)で俺に聞いてくるが…


「いつ、どこで、誰が世界最高峰の情報屋になった!!つか誰だそんなこと言い始めたのは!」


「1ヶ月前、ビックシェルで、が。ちなみに言い始めたのは俺だ。」


「最近変な依頼が多いのはあんたのせいか!!依頼主がどっかのマフィアのボスだったり、依頼内容がある国家の機密情報だったり、企業スパイをしてくれだの軍の機密を探ってくれだのそんな依頼ばっかだったのは全部あんたのせいか!!」


依頼を断れなくて大変だったんだぞ!!


「その仕事全部完璧にこなすのは、お前だろう?さて、それよりも俺からの依頼は受けるのか受けないのか?」


依頼!?今までのは依頼だったのかッ!?脅しの間違いだろう!!


「受けて、くれるな?雷電の行動を止めようとしなかった?」


そして俺はその言葉に陥落した。


だって、スネークは絶対に敵に回したくないっ!!





そして俺とスネークの共同戦線は始まった。


俺が監視衛星の一つを乗っ取り、雷電の行動を確認しつつスネークに伝え


スネークは俺からの情報を元に雷電を追い詰める。


が、しかし敵もなかなかしぶとい。
なにせ自分の命がかかっているから全力を尽くして逃げ回る。
さらに全力で逃げ回る雷電自身能力が高いため更に捕まえにくくなる。


結局俺たちが雷電を捕まえるのに1週間かかった。


………捕まった時の雷電は連日の昼夜問わずの追跡に心身ともに疲れ果てた様子で目の下には隈もできていた。

(わかる、わかるよ雷電。俺もきっと雷電の立場だったら死に物狂いで逃げ続けるよ。)


そして捕まった後路地裏(またか)に引きずり込まれていった雷電がどんな目にあったのか俺は知らない。

路地裏からは「女装は嫌だっ!!」とか「やめろっ!!」とかカシャカシャという機械音だとか「ローズにだけはっ!!」などという声やら音がしたが…きっと気にしてはいけないのだろう。


ただ…路地裏から出てきたスネークの顔は達成感に輝いており、雷電は反対に死人のように青白かった。


















自宅にて





久しぶりに部屋に帰ってきた俺はPCを立ち上げ、あるファイルを見ながら悩んでいた。


「……このデータは破棄すべきか…だがいざと言うとき取引の材料に……いや、リスクが大きすぎる、しかしこんな写真は二度と…。」



そう言って悩み続ける俺の目の前にあるPCのモニタに映し出されていたのは……


ジャパンの文字『肉』が額に書かれ、尚且つ頬には赤い線で渦巻きを書かれたスネークの写真だった。














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アトガキ(懺悔)
あぁ…開放感に身を任せたらこんなものが。
言っておきます、私はプリスキン&スネークも大好きです。
だからウィルス付メールは勘弁してください。
…くっつけられないけどね。
んで、この話には裏話が2つほど…
気になる方は飛んでってくださいな。
その1   その2

脱稿04/10/17