橋の上から見る茜色に染まる景色はとても言葉では言い尽くせないほどで




俺はただただその景色を魅入られたように見つめている




そうしているとまるで今この世に俺しか居ないように感じ




この景色を独り占めしていることに歓喜すら覚えた




この景色を俺は決して忘れることは無いだろう




胸にこみ上げる苦い思いと共に




つまり、俺は今現実逃避中

















金=労働





















長かった
とにかく長かった



何が長かったのかというとパーシヴァルが笑い終えるまでの時間だ



実際には30分程度だったのだが
好奇の視線にさらされている俺が感じた時間は2時間分に等しかった。
結局パーシヴァルが笑い終えたのは先程も述べた通り30分ほどで
俺が中へと誘われた理由を知るのはそれから10分後である今だ。






俺は今パーシヴァルに進められて入った部屋で部屋の持ち主(らしい)と向かい合っていた。




「で、なんで俺を砦の中なんかに入れたんですか?というか俺にいったい何の用ですか?」



そう俺が尋ねるとパーシヴァルは肘をテーブルにつき手を組んで悠然と答えた。




「俺が気に入ったからかな。」




………変体決定!?
もとい変態決定!?




「だからそういう意味じゃないって。」




「じゃ・・・じゃぁどんな意味で?というか今俺の思考読みませんでしたか?」
そういうとパーシヴァルはにっこりと俺に向かって笑った。
むしろ笑ってごまかした。





「で、をここに案内したのはどうやら金に困っていたから。」





俺の疑問は思いっきりスルーされなかったか今。
「パーシヴァルは金に困った人間皆を世話しているので?というか今俺の疑問スルーしませんでしたか?」




「そこは俺が気に入ったから。で、は何ができる?」




更にスルーされましたよ奥さん
「事務処理一般と学術指南、それにちょっとした護身術程度ですがそれがどうかしましたか?それよりいい加減質問に答えてくれませんか?」




俺がそう答えるとパーシヴァルは少し驚愕の顔を見せた。
やっと答えてくれるのだろうか。

「それは丁度よかった。学術指南役が今ちょっと入院していて誰もいないんだ。」

結局教えてくれないのか。




「で、ちょっとの間雇われないか?」




美味しい、美味しい…が先人の知恵曰く「美味しい話には裏がある」とも言うし…
でも現実として俺は今宿に泊まる金も無い
でも怪しい、怪しすぎる
はっそれでもパーシヴァルは騎士じゃないか。きっと汚い手は使わないはず…多少怪しいところもあるけど。
しかしウチの騎士は騎士なのにやたらと汚い手を使うぞ?といっても某赤騎士団長だけだが。




ククッ




笑いをこらえるような音が聞こえ音の源を見るとパーシヴァルが口を押さえてうつむいていた。




(またかよ)




そう思いため息をつくと堪えきれなくなったのかまた盛大に笑い出す。
今回唯一の救いだったのはここがパーシヴァルの私室?で他に誰もいなかったことだ。おかげでやたらと痛い視線を浴びずにすむ。
が、ともかくこのままだと一向に話が進まない。
つまりは俺が解放されないということで。
とにかく俺は結論を出さなくてはいけない。
といってもほぼひとつしか選択肢が無いような気がしないでもないが。


俺が出した結論
それは…




「俺でよかったら雇ってください…って聞いてます?」




多少の怪しさに目を瞑り当座の資金を稼ぐことだった。
幸い、学術指南は昔からよくしていたため慣れているし…って




「話、聞いてます?」




パーシヴァルはいまだにテーブルを拳でガスガス殴りながら頷いていた。


テーブルがパーシヴァルの拳をうけてだんだんと変形していっているがそれはたぶん気のせいだろう。


たとえひびがはいっていても気のせいだ。


ミシミシという音がしているのも気のせいだ。


気のせいだということにしておいてくれ。


俺はまだ認めたくない……


この世に笑いすぎでテーブルを壊す馬鹿がいるなんていうことを


そしてその原因が(たぶん)俺だということを


俺はこの時まだ知らなかった


その馬鹿が騎士団の中で高い地位にいる人物だということを。
















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アトガキ(懺悔)
ふふ…私てきにもいったい何を言いたかったのやら…
とりあえずパーシーちゃんは灰色属性です。限りなく黒に近い灰色ですが。
あ〜早くゲドさんだしたいよう。
つか全然話進んでないな。
そしてやたらと短いなこの話