草原の中から夜空を走る雲を見た。 雲のように空から地上を見下ろすことができるのならば この世界はどのように映るのだろうか そして俺はその空から見下ろす眼を 欲している。 人の噂も○○日 先程も述べたとおり俺は今眼がものすごく欲しい。 できればこの草原にある道がはっきりと見えるとなお良い。 つまり俺は 地図が欲しい!! 笑い事じゃない。 本当に切実な問題なんだって。 回想開始 結局あの後太陽を頼りに歩き出したはいいものの、世の中そんなに甘くない。 歩けども歩けども見えるのは結局雄大な草原で建物や道ではない。 そしてそうこうしているうちに日は沈み、月が昇り結局野宿をすることになった。 途中何度か引き返してあの少女に道を尋ねようかとも思ったが 引き戻そうにも自分が通った道のりすら今は解らない(迷ってるからあたりまえ) そして野宿の準備を続けるうちにあることに気がついた。 サイフかわりの皮袋に穴が開いてる!? そう、あれは荷物のチェックをしているときのことだった 俺はあの少女からもらった荷物の中身と腰につけていたポーチの中身の確認をしていた。 俺が身に着けていたポーチの中身は ナイフ(さっき投網を切ったやつ) サイフ(皮袋にみえるがサイフと主張) おくすり(水で湿っている) で、少女からもらった袋には シミター(どっかの盗賊のようだ。ガラが悪いように見えるので結局使わなかった) 食料少々(主に保存のきく食料が2日分) おくすり少々 が入っていた。 それらを確認した俺は荷物をしまい、ふとあることに気がついた サイフ軽くないか? そう思い持ち上げてみるとやはり軽い。 むしろ皮袋の重さしか無いような気がする その時俺はまだ「気がする」ということにして現実から逃げていた。 むしろ今も逃げてしまいたい。 そして恐る恐る確認すると中には 1ポッチだけ入っていた い…1ポッチ? 慌てて逆さにしたり 裏返しにしたり 地面に叩きつけてみたり 眼を瞑って呼吸を整えてから再度開けてみても 底にはお金どころか穴しかなかった。 回想終了 そして今俺は焚き火だけはなんとかたいた状態でうずくまっている。 いやよかったよ?今が秋や冬じゃなくて 秋か冬だった場合滝に落ちた時点で俺の人生が終わっていた可能性がものすごく高い。 いやいや、今考えるべきことはそんなことじゃない。 今考えるべきことは 金だ。 このままではたとえどこかの町につけたとしても宿に泊まるどころか食料や装備品をそろえる金すら無い。 ではどうするか… 結論としては そこらにいるモンスターをひたすら潰すのみ!! そんな文官としてはありえない考えをいだいて俺は、自分のコートを体に巻きつけ(滝に落ちた時はこのコートのせいで死にかけた)眠りについた。 そして次の日 昨夜宣言(?)した通り出てくるモンスター全てを殴り倒しつつ俺は草原を進んでいた。 そして俺はソレを見た瞬間歓喜と共に絶望を抱いた 「町に着いたはいいけど金が貯まってない!!」 意外と野宿した場所からその町は近く、結局お金は101ポッチしか貯まっていなかった 安い宿があればよいのだがあの町の規模ではそれは望めそうに無い。 となると… もう一晩野宿決定? そして俺はそんないやぁな予感をかみ締めつつ(本音としてはかみ締めたくない)町の中へと入っていった 町に近づくとまず目に入ったのは門で次が橋だった。 なかなかその門も橋も立派でまるで要塞のようだ。 「ここらへんで要塞といえばブラス城か…ってこれ町じゃなく城?」 俺の目ってどうなってるんだ? というか何で城と町を間違えたんだ? あごに手を当てつつ首をかしげているとそれを不審に思ったのかちょっと髪形が奇抜な騎士(たぶん)がこっちに寄ってきた。 「どうかしたのですか?」 「えっとじつは…」 言いづらい、とても言いづらい 正直に「城と町を間違えた」といってもいいのだがそれはものすごく恥ずかしい。 というか、ソレは俺にとって人生最大急の恥だ。 じゃぁどうする? ここで黙っているとカナリ怪しい で、「ちょっとこちらへ」 とか言われて家のこととか聞かれたら… そしてその後家に通報されたら… 俺はその最悪の結末を想像して真っ青になった。 はたから見たらかなり怪しいだろう。 橋の前で立ち止まり首をかしげたまま動かないわ 騎士に質問され、その瞬間真っ青になるわ… 前者はともかく後者はやばくないか?まるで犯罪者のよ… 「俺は犯罪者じゃない!!」 「はい?」 叫んじゃったッ 思わず叫んでから目の前の見ると 「なんだこいつ?頭がちょっとヤバイ人種か?」 といった目で俺を見ている 「す、すみません。じつはサイフに穴が開いていてお金が無くて途方にくれていたんです。というか、今日の宿どうしよう!?101ポッチで泊まれる場所知ってますか?なかったらせめてコンパスと地図を売っている場所を教えてください!!もうあんな目にあうのは遠慮願うのでっ。それから顔が青かったのはこれからの事を思った結果青ざめただけで俺は犯罪者なんかじゃありませんからねっ」 はぁ…はぁ… おそるおそる改めてもう一度目の前の騎士の顔を見ると今度はなんとも不可思議な顔をしていた。 なんというか 心底驚いた、というような顔と 今にも笑うぞ、というような顔と 哀れんでいるような顔が混ざっていてとても不可思議だ。 はぁ…はぁ… そして俺はそんな騎士の前でいまだに息を切らしていた。 久しぶりのノンブレス絶叫はものすごい疲れ、肺がめいいっぱいふくらんではしぼんでを繰り返している。 そしてそんな俺の目の前に立っている騎士の復活第一声は 「名前を教えてください」 というなんとも微妙な言葉だった。 いやさ、この場合俺が女性だったら「ナンパ?」とか思えるんだけど俺はどこをどうやっても男だし、女顔でもない。 よってコレはナンパではないと俺は判断する。 次の可能性としてはさっき考えていた通りのことだが それにしては目の前の騎士の顔がにやけすぎている。 というかこの顔は笑うのを必死にこらえているのか? 「俺の名前はだけど、どうかしました?」 「ですかいい名前ですね」 いや、そんな偽名を誉められても… というか本当にナンパですか? 「ではさんついてきてください。」 その言葉に俺が固まっていると騎士はやはりにやけながらこう言った 「とって喰ったりしないから来いって。」 いきなりタメ語!? 「俺の名前はパーシヴァル。れっきとした騎士だから安心しろって。」 「安心…?いや…なんていうか…パーシヴァルさんってソッチ系の人?」 「はい?」 そんな疑いがある限り安心できません。 「ほ…ほら軍関係の人って多いって言うし、さっきからなんだかまるでナンパみたいだし…」 その俺の言葉に騎士―パーシヴァルはこらえきれなくなったのか盛大にふきだし、腹を抱えて笑い出した。 そりゃあもう身に着けている鎧がガッショガッショ鳴っても一切気にせず笑い出した。 そして俺はパーシヴァルが笑い終えるまで周囲の好奇心一杯どころかあふれ出て凄いことに!!といった視線を一身に浴び立ちつくしていた。 ちなみに笑い終えたのはそれから30分後の事だった。 明日にはきっと 『騎士が橋の上で少年を笑い続けていた』 とか 『騎士が橋の上で見つめあい笑い続けていた』 とか尾びれがものすごく付いた噂が流れるのだろう。 (75日で消えたらいいな。) 人の噂も75日って言うし ちなみに一瞬間違えて45日と思った事を追記しておく。 Next Back ****************************************************** アトガキ(懺悔) 人の噂も45日。 コレは実話です。というか言ったのは私です。 その後にもち親に頭をはたかれましたよ。 意味がわからなかった人は是非とも聞いてみてください。 てか幻水に仏教なんて無いだろ俺 04/7/22脱稿 |