『そばにいてほしい』/STAND BY ME/未定
進・・・・・・君を殺した彼等を僕は許しはしない。
彼等と共に行った俊のことも。
博士、あなたを信じていたのに。
僕にはもう誰もいない。
「桃崋、『ビル』に一人で行くなっていってるだろ」
髭の男が声をかける。
『ビル』は危ない。
人の支配下を離れたセキュリティシステムは、無差別に攻撃を仕掛けてくる。
その意志は機械自身のモノなのか、それとも『カズヤ』が意図してる事だと楽観してもよいのだろうか?
機械の反乱は3年前に遡る。
突然MOTHERに繋がるすべての端末が活動を停止し、一週間後それは始まった。
機械は人間を排除しはじめた。
ロボット3原則とかいう大昔の代物はどうやら組み込まれてなかったらしい。
機械が動いたと安心した人間たちは次の瞬間、人口の約六割が命を失った。
自動走行路を利用してたもの、エアカーに乗り浮上中だったもの、エレベータに乗ってたもの、・・・etc.
それでも残ったものたちが都市を捨てて逃げ出すまでに2週間かかった。
その間に更に3割の人間が死ぬ事になった。
今、都市の近くに住むものは、残留物探しのハンターか土地に縛られたもののみ。
髭の男や桃崋と呼ばれた少女はハンターである。
残存する建物の中に突入して、食料や消耗品を集めてくるのが彼等の仕事だ。
「でもさー、一人で出来るようにならなきゃ、もしものときに困るじゃん?」
髪を金髪に染めた16歳くらいの少女だ。
体つきが変化する時期らしく、Tシャツやジーンズのヒップがやや窮屈そうだ。
(新しい服とってきてやんなきゃな)
胸のらへんに目をやりながらふと思う。
それにしても成長が遅い自分の体が恨めしい。
髭をそっていないからかなり老けてみえるが、彼はまだ17歳。身長は低くはないが、よく見ると体型はまだ子供だ。
力が足りない。
それでも、
「お前はおれが守るってば。おれは死なない。おれにまかせとけよ」
ついカッコつけて言ってしまう。
自分でもちょっとくさかったかな、と思ったところに、
「ぷっ・・・」
桃崋が大きく吹き出す。
「おっ・・・お前なー、吹き出すなよ!いつも助けてもらっといてその態度はないだろうがっ!!」
顔が赤くなる。
そんなに笑い転げなくていいだろうとふて腐れつつ、『ビル』に行く準備をする。
そろそろこの辺も物が尽きてきてしまった。
なくなったら次の町に行って、誰も手をつけてない建物を見つけて・・・その繰り返し。
いつか全てなくなったら自分達は、人間はどうなるのだろう?
技術をもったものがほとんど存在しない。
人々の集落では辛うじて食料が細々と作られているのみ。貯える余裕どころか、他の集落の食料が足りなくなってもわける事すら出来ない程。
『ビル』から見つけだす保存のきく食料におおかたの人間は頼らざるを得ない。
髭の男・・・と言うか少年はゴーグルをつけ荷物を背負った。
異変当時20代から40代の働き盛りの人間は通勤途中にほとんど皆死亡した。
十代後半の彼等みたいな子供が、敏捷性を要するハンターの大半を占める。
大抵はグループを組んで