【中庭・コートハウスの家】−中庭・回廊を持つ住宅−

私たちが中庭に取り組んだのは、2003年に青森市で建てられた「ナツツバキの家」が最初です。6帖ほどの中庭がとても豊かな空間を作るこの作品を契機に【中庭の家】を多く手がけてきました。ここでは中庭の魅力をご紹介していきたいと思います。

作品1「ナツツバキの家」

私たちが初めて中庭に取り組んだ住宅です。道路が敷地の北と東にある角地に建っています。車庫と中庭が風除室を介してつながっていて、家の中心にある中庭が空間の「豊かさ」を生み出します。

ナツツバキの家 外観写真(1)

車2台分の車庫スペースに風除室のドアがあり、その奥が中庭となっています。建物の東南の角にはバルコニーを配置して、中庭の奥深くまで太陽光を取り込みます。

ナツツバキの家 外観写真(2)

車庫の奥の風除室のドアです。中庭から落ちる陽差しがガラスを光らせています。

ナツツバキの家 外観写真(3)

風除室のドアを開けた写真です。風除室の中庭側の戸は閉められるようになっています。太陽の光が深く差し込むこの中庭が、住宅の中心に配置されています。

ナツツバキの家 中庭写真(1)

中庭内部の様子です。この広さ6帖ほどの中庭に面して、1階も2階も窓が大きく設けられ、視線の中心にシンボルツリーとして「ナツツバキ」が植えられています。

ナツツバキの家 中庭写真(2)

個室がある1階の天井高さは2.2mにしています。2階床までの高さを低く抑えることで、親密さのある空間を作ることができます。

ナツツバキの家 中庭写真(3)

1階の部屋から中庭を見た写真です。木漏れ日がサラサラと降注ぐ心地よい中庭です。

ナツツバキの家 中庭写真(4)

中庭に面した窓は天井いっぱいまで大きく設けられています。建物が密接する市街地でも、中庭をつくることで開放的かつプライバシーの保たれた空間が可能になります。外部からは見えないので、視線を気にせず生活することができます。

ナツツバキの家 中庭写真(5)

1階床と中庭床の高低差は、約20cmです。雨水の侵入防止などを技術的に工夫して高低差を極力小さくすることで、部屋の延長のように感じられる中庭になります。

ナツツバキの家 中庭写真(6)

2階のリビングの窓からも中庭のナツツバキ、その向こうには自分の家が見えています。隣の家ではなく、子供部屋の灯りやお気に入りのコーナーなど、心地よい日常を包み込んでくれる「我が家」が窓から見えるのは楽しいものです。

ナツツバキの家 外観写真(4)

建物の東南の角に設けたバルコニーです。2階は中庭を囲んで回れるようになっているので、子供たちはリビングとバルコニーをぐるぐる回って遊びます。バルコニーの手摺には、緩やかに視線を遮ってくれる木製のたて格子を用いています。

ナツツバキの家 中庭写真(7)

新築時に植えたナツツバキは、年月を経てさらに元気に大きく育っています。【光・通風・安定した暖かさ】のある中庭は、樹木にとっても良い環境を与えている様です。

作品2「美しい中庭を持つ家」

中庭にシンボルツリーを植えて、中庭を中心に空間を構成した住宅です。東・南・西の3方を隣家で囲まれた敷地条件の中で、いかに快適な住宅にするかを考えました。

美しい中庭を持つ家 外観写真(1)

道路が北側にあり、隣家に周りを囲まれている土地です。家全体に光が行き届くようにするために、中庭上部から太陽光を取り込むプランとしています。

美しい中庭を持つ家 外観写真(2)

屋根の下に駐車スペースがあり、その奥に中庭がつながっています。中庭と駐車スペースの間は、風が通るFRPグレーチング製の可動扉で軽やかに仕切られています。

美しい中庭を持つ家 中庭写真

このFRPグレーチング製の扉は、外部の視線を柔らかくカットしながらも、家族が帰宅するなどの気配を感じることができます。

美しい中庭を持つ家 中庭写真

中庭内部の様子です。広さは10帖ほどですが「光」・「風」・「家族の気配」すべてがこの中庭を介して伝わっていきます。

美しい中庭を持つ家 中庭写真

1階の部屋からの眺め。木を植えると木の葉がゆれて、室内から風を目で感じることができます。また、木の落とす影が時間の経過を映したり、新緑や紅葉など葉の色が季節も感じさせてくれます。

美しい中庭を持つ家 中庭写真

2階南側にはバルコニーを配置することで、太陽光が中庭に深く入り込みます。中庭に面する外壁に光が反射し、中庭全体が明るくなります。

美しい中庭を持つ家 中庭写真

2階の部屋からも木が見えます。中庭は外部というよりは半屋内、すなわち「外でなく内部でもない=天井の無い部屋のような空間」のような雰囲気を持っています。

美しい中庭を持つ家 リビング内観2

2階のリビング前の広いウッドデッキは、2階のお庭のような場所です。ウッドデッキから中庭へ降りる階段もあるので、子供たちにも楽しい空間となっています。

作品3「Asian Cubic」

建物と木製ルーバーで中庭を構成した住宅です。プライバシーを確保しながら、明るく気持ちの良い空間を目指しました。

Asian Cubic 外観写真(1)

西側からの全景。中庭空間は木製ルーバー(高さ3m)で緩やかに仕切られています。写真左側1階がLDK、中庭をはさんで写真右側にはオーディオルーム。

Asian Cubic 外観写真(2)

リビングから中庭を見る。子供が水遊びをしたり、バーベキューをしたりと「楽しく遊べる中庭」となっています。中庭の向こうにオーディオルームが見え、家族の気配を感じ取れます。

Asian Cubic 中庭写真

LDKは大きな吹抜け空間となっています。中庭があるお陰で視界が広がり、住宅に奥行き感を与えてくれます。壁は珪藻土仕上げ、床はパインムク材にオスモカラー塗装。

Asian Cubic 中庭写真

リビングの大開口サッシには、断熱性能の高いLow-Eガラスを使用すると共に、サッシ直下の床下から暖房吹出し口を設け、コールドドラフト(=サッシに沿って起こる、下方への冷気の流れ)防いでいます。窓際に見えているスノコが暖房の吹出し口です。

Asian Cubic 中庭写真

リビングのスチール階段。

Asian Cubic 中庭写真

中庭を見ながら階段を下りるのも楽しいですね。

Asian Cubic 中庭写真

中庭内部から吹抜けのあるLDK側の建物を見た写真です。

Asian Cubic リビング内観2

【中庭+吹抜け】の空間構成は、【中庭の奥行き感+吹抜けの開放性】の相乗効果で、住宅をより心地の良い空間にしてくれます。

作品4「家族を育む家」

吹抜けと一体となった中庭を持つ2世帯対応型住宅です。庭には四季を彩る木々が植えられています。

家族を育む家 外観写真(1)

南からの全景写真。写真左上 木のフレームで囲まれた部分が中庭です。

家族を育む家 外観写真(2)

西側からの全景。木製ルーバーの向こうに中庭があります。このルーバーにより視線は緩やかに通しますが、防犯上はしっかり機能させています。

家族を育む家 中庭写真

玄関ホールを抜けると、中庭が目に飛び込んできます。中庭の広さは約6帖、写真左側にはLDK 右側にはピアノ室があります。視界が中庭 → 木製ルーバー → 西側隣地へと広がります。

家族を育む家 中庭写真

リビングから中庭方向を見る。リビング・中庭空間・ピアノ室と連続しています。中庭に面するこの空間は、家の中を移動する時の通り道になっていますので、移動の度 中庭を楽しむことが出来ます。

家族を育む家 中庭写真

階段上部からの写真。階段を下りてくると中庭が見えます。

家族を育む家 中庭写真

「吹抜け+中庭」の組み合わせで、開放感あふれるホールとなっています。光・風・視界の通り道になる中庭は、この住宅に欠かせない存在です。

家族を育む家 中庭写真

作品5「芝生の中庭がある回廊の平家」

芝生を植えた中庭のまわりに玄関・リビング・家族室が配置された回廊型の住宅です。模型で周囲の状況と中庭の配置をご覧下さい。

芝生の中庭がある回廊の平家 外観写真(1)

周りは2階建ての住宅が建っています。その中に、ゆったりとした平屋を提案。五所川原市は積雪量も多く、岩木山から吹き降ろす西風の強い地域です。建物中心に造られた中庭は、冬季間でも強い風が吹込むことがありません。そのため中庭に穏やかに降り積もる雪を眺めながら暮すことが出来ます。

芝生の中庭がある回廊の平家 外観写真(2)

西の道路側から模型を見る。無落雪の屋根にポッカリと楕円の穴をあけ、【光・風・雨・雪・空=自然】を呼び込む事を試みました。

芝生の中庭がある回廊の平家 中庭写真

屋根をはずして、斜め上から模型を見る。緑が中庭、この中庭を囲むように部屋が配置されています。

芝生の中庭がある回廊の平家 中庭写真

中庭上部 屋根の施工状況です。大工さんが楕円形の屋根開口に合わせて、構造材を取り付けていきます。この曲線構造は、弘前ネプタ(扇ネプタ)の加工技術が生かされています。これが出来なきゃ 「弘前の大工とは呼べない!」 と鼻息荒く棟梁が言っていました。

芝生の中庭がある回廊の平家 中庭写真

下から見た屋根開口。ここから青空が見えたり、月が見えたりと楽しみです。

芝生の中庭がある回廊の平家 中庭写真

屋根工事がほぼ完了。ポッカリと楕円の【穴】が開きました。

芝生の中庭がある回廊の平家 中庭写真

完成した中庭。コウライ芝を植え、その周りには白那智石を敷きこんでいます。芝生も青々としていて眺めているだけで気持ちいいですね。中庭から見える植栽は、家族の一員であるかのように思えてきます。

芝生の中庭がある回廊の平家 外観写真(1)

芝生は屋根の形状に合わせて、楕円に植えられています。こうしておくと、雨が十分芝に降注ぎ枯れる心配が少ないです。また 中庭では強い風が吹かず、安定した自然環境を得ることが出来ます。これも中庭の特徴のひとつです。バーベキューも人に気兼ねなく思う存分楽しめます。強い風が吹かないので炭火の火力も安定しますよ!

芝生の中庭がある回廊の平家 外観写真(2)

見上げると、ポッカリ屋根が開いていて空が見えます。自分だけの空 自分だけの小宇宙。

作品6「光と緑のコートハウス」

建物と木製ルーバーで中庭を囲った平屋。住宅地の中にありながら、「山小屋での遊びを楽しみたい」そのご要望にお応えしたのが、この中庭です。多様な「遊び」が中庭で展開されていきます。

芝生の中庭がある回廊の平家 外観写真(1)

南からの全景写真。住宅本体と木製ルーバーで中庭を囲っています。写真手前は道路 ルーバーの効果で中の様子はかすかに分かる程度。中庭の大きさは、巾7m 奥行き10m

芝生の中庭がある回廊の平家 外観写真(2)

ウッドデッキ・芝生・家庭菜園 多様な楽しみ方が提示されています。外壁は木板張り+オスモカラー塗装。屋根には薪ストーブの煙突も見えています。

芝生の中庭がある回廊の平家 中庭写真

建物の建て込んだ住宅地でも、中庭ではリラックスした時間が流れていきます。

中庭の魅力とは

中庭の作品を6例ご覧いただきました。これらの【中庭】には、大きく分けると次の5つの魅力があります。

  • 1.建物の中心部に光を取り込む…隣に建物があっても、明るい部屋をつくることができる
  • 2.通風の確保…中庭に面した窓をあけて、通風を確保できる
  • 3.プライバシーが保たれた空間…外部から見えないので、視線を気にせずリラックスできる
  • 4.中庭越しに自分の家が見える楽しさ…窓越しに自分の家が見え、家族の気配を感じ取れる
  • 5.中庭では強い風が吹かず、安定した自然環境を得ることができる
タイルを使った対面式キッチン写真1

中庭で心配なこと

「中庭に積もった雪はどうなるのですか?」 お客様からよく聞かれる質問です。初めて中庭に取り組んだ「ナツツバキの家」で、思いのほか中庭には雪が積もらないことが分かりました。

設計時には中庭の積雪が心配だったので、中庭の床にロードヒーティング(融雪装置)を設置しました。ところが家が建って実際に冬を経験してみると、建物基礎からの熱が中庭に溜まるために雪がかなり融けて、ロードヒーティングを使わなくても大丈夫だったのです。以来、積雪地でも積極的にこの魅力的な【中庭の家】に取り組んでいます。