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港のセメント工場

1988年、観光物産館“アスパム”をランドマークとして、青函博覧会が開催されたのを機に、青森港は青い海公園を中心にきれいに整備がすすみ、昔の面影を残すところは少なくなりました。
このセメント工場はその青い海公園から少し東よりにあります。記憶がはっきりしませんが、確か私が小学生の頃にできた建物だと思いますから、築後40年はたっているはずです。外観はすっかりうらぶれて、すさんだ印象になっていますが、トラックが何台かとまってなにか作業していたところを見ると、どうやら今でもちゃんと現役で稼動しているようです。
こどもの目で見たときにはどこか近未来的で、非日常的で、その頃の漫画の「鉄腕アトム」や「鉄人28号」の世界にたやすく入り込める風景でした。もうその跡形は見つかりませんが、このあたりまで鉄道の引込み線が入っていて、車輪とレールのきしむ独特の音を周囲の倉庫群の壁に響かせながら幾両もの貨車がいつも通っていました。
もしかしたら、遠くの町から貨車いっぱいに積まれてきた原材料が運び込まれ、できあがったセメント袋は工場からつながる不思議な空中廊下の中を通り、すぐそばの岸壁に着いた貨物船をいっぱいにして、また遠くの町へと運ばれていったのだろうなぁ。

あの頃はほんとうに、青森は港の町であったのです。

 

 

2004年4月14日撮影
         

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