電脳写真散歩タイトル
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郷土館のコリドー

青森県立郷土館は、昔銀行だった建物をほぼそのまま使っていて、今の建築にはない重厚で贅沢な空間が魅力的です。郊外に新しい美術館をつくるより、ここをそのまま利用したほうが良いと思うくらいです。縄文人の人形やねぶたの面はどうみても似合いません。
特別展の時に使われるホールは特に好みです。全吹き抜けの高い天井、そこここに残るアール・デコのデザインが素敵です。足音や小声が心地良く耳に残る残響。バロック時代以前の合唱がここで響いたらきっと素晴らしいコンサートになるだろうと、展覧会を見にくるたびに思っています。

写真はエントランス横のコリドー(回廊)のベンチに座って撮ったものです。通りをはさんで向こうに見えるのは、ちょっとグレーががった白壁に、赤い屋根と縦長の窓が印象的なT邸です。今は本町となっていますが、以前は大町とよばれたこの界隈は、われわれ庶民が敬意と羨望をこめて“オオヤケ”と呼んだいわば青森のハイソの方たちが住んでいたところでもあります。
通り一本山手は夜の歓楽街なのですが、ここは今も閑静で瀟洒な空気が流れます。





 

 

2004年7月9日撮影

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