縞枯れ
       
 日本の亜高山帯には,シラビソやオオシラビソが優占する林がある。そこでは、林冠木が立ち枯れる部分が多数の白い帯のように広がり120〜150m間隔で平行に並ぶ「縞枯れ」が見られる。隣り合う立ち枯れ帯の間では、大きい樹木から小さいものへと樹高が規則的に並ぶ。このような縞枯れを作り出す原因は、一定の方向から吹く恒常風だといわれている。立ち枯れ帯のすぐ風下側には高い樹木が並んでいて、恒常風に直接さらされて蒸散が過剰になり、やがて立ち枯れる。それ以外の樹木は風に直接さらされないので、ほぼ一定の速さで樹高を増す。その結果、全体としてパターンを保ったままで、ゆっくり風下に動くことになる。大岳は1年当たり35cm動くことがわかっている。縞枯れ現象は、北八ヶ岳、蓼科山の北東に接する前掛山、東北地方の八甲田山や紀伊半島の吉野山など日本全国に見られるだけでなく、北アメリカでもニューハンプシャー州やニュージャージー州などでモミ属の優占する森林でみられ、波状更新とかモミの波と言われる。
縞枯れは,山火事と同じで森林の生命力を保つための自浄作用だと思われる。縞枯れも山火事も、土壌を日光にさらして虫干しし、その生命力を回復させているのだろう。
   
2003年7月22日 八甲田 大岳  毛無岱から

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