八甲田関連地名解説<山岳編>

主として「角川日本地名辞典2青森県」をもとに植物分布や登山路の情報を補正します。
それぞれの風景や植物の画像へリンク・ボタン埋め込みは、3月完成を目途に工事中です。

八甲田山北八甲田前岳田茂萢岳赤倉岳井戸岳大岳石倉岳硫黄岳子岳雛岳裏八甲田八幡岳南八甲田逆川岳横岳 猿倉岳駒ヶ嶺櫛ヶ峰乗鞍岳南部赤倉岳十和田山戸来岳十和利山

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区分
名称
解   題
風景
植物
山岳八甲田山
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 はっこうださん く青森市・十和田湖町〉
青森市東南方にある山塊。上北郡十和田湖町北部にま
たがる。
八甲田火山のカルデラに生じた中央火口丘群で,標高
1,585.6mの八甲田大岳(大岳)を主峰とし,前岳・田
茂萢岳・赤倉岳・井戸岳・石倉岳・高田大岳・雛岳の
8峰をさすが,ほかに小岳・硫黄岳を合わせて10峰で
構成される(青森営林局青森林友会:十和田・八甲田)。
那須火山帯に属し,高原の八幡平,湖水の十和田湖,
渓流の奥入瀬とともに,男性的な山岳美を誇る十和田
八幡平国立公園の北端に位置する、新生代第四紀洪積
世の火山である。
8つの峰と低地に発達する高層湿原,池塘を田と見なし
て八甲田と呼称するといわれる。
種々の火山形態と活動様式,河谷湿原から山岳に至る
埴生の変化など地質・地形・植物の研究には不可欠の
フィールドである。
標高800〜900mはブナ・ミズナラ林で構成されるブナ帯
となっており,900〜1,100mではアオモリトドマツ・ブナ・
ダケカンバの生育する針潤混交林,1,100〜1,450mでは
アオモリトドマツにチシマザサを混生する針葉樹林帯で占
められる亜高山帯となる。
この上部は高山帯となり,下方はハイマツ・ミヤマハンノ
キ,矮小化したダケカンバの見られるハイマツ帯,上方
はガンコウラン・イワウメ・コケモモなどの生育する草本
帯となっている。
山腹には昭和4年創立された東北大学理学部付属八甲田
山植物実験所があり,学生の野外実習のほか、国内外
の学者・研究者が訪れて植物研究が行われている。
また,ここには八甲田山に生育する植物を短時間で観察
できる植物園も併設されている。
当山塊周囲には国民宿舎酸ケ湯温泉をはじめ,八甲田
温泉,谷地温泉などがあり湯治客でにぎわう。
主峰八甲田大岳への登頂は酸ケ湯温泉から仙人岱を経
由して行われるが,毛無岱コースも整備されている。
さらに,昭和43年に敷設された八甲田ロープウエーを利
用して北方の田茂萢岳・赤倉岳を縦走して八甲田大岳
に至るコースもある。
北方には広大な高原田代があり,この東端馬立場山項
には明治35年,歩兵第5連隊八甲田山雪中行軍遭難を
記念した後藤伍長の銅像がたつ。
北西方には萱野高原,西南方には荒川の開析した城ケ
倉渓谷がある。
青森市街から十和田湖へ至る十和田北緯が走り,JRバ
スが定期運行される。
八甲田山というと通常これまで述べた山塊をさすが,こ
の山塊と荒川を隔てて南西部に位置する連峰を南八甲田
と呼び,八甲田山を北八甲田と呼ぶことがある。
冬季には南北両八甲田は,10mを超える雪で覆われるこ
とと適度なスロープが形成されることからツアースキーの
コースが設けられる。
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山岳北八甲田
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 きたはっこうだ く青森市・十和田湖町〉
八甲田山の北部を指す呼称。堤川水系荒川と相坂川水
系蔦川以北,一般的には青森市から十和田湖に至る
観光道路十和田北線(国道394号)以北の地域を指す。
これより南部は南八甲田という。
狭義には八甲田大岳(1,585.6m)を主峰とする高田大岳・
赤倉岳・井戸岳・田茂泡岳・小岳・硫黄岳・石倉岳
などによって形成された山魂をさし,北八甲田連峰とも
称する。
広義には山麓の萱野高原・田代平などの高原も含む。
登山道やロープウエーなどが整備され,ハイキング・
登山・スキーなど四季を通して広く親しまれている。
積雪期は山塊全体が絶好のスロープとなり,樹氷を縫
って滑走する山岳スキーのメッカとして全国的に知られ
る。山麓には、酸ケ湯・城ケ倉・谷地・八甲田・田代
元湯など多くの温泉が点在している。
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山岳前岳
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 まえだけ く青森市〉
青森市南部にある山。標高1,251.7m。八甲田山を構
成する山峰の1つ。
十和田八幡平国立公園の最北端を占める。市街地か
らは大岳・井戸岳の前面に円錐形の山として見える。
北麓を火箱沢林道が通り,青森市から十和田湖へ至
るエイトラインの東西を結ぶ。
コメツガとアオモリトドマツの北限地でもある。
登山路はない。4−5月堅雪時、萱野、田代側から
1時間半で登頂できる。山頂からの展望は絶景。
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山岳田茂萢岳
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 たもやちだけく青森市〉
青森市南部にある山。標高1,324m。八甲田山のうち、
北八甲田を構成する山峰の1つ。荒川支流田茂萢沢上
部に位置する。
青森市から十和田湖へ通じる十和田北線が田茂萢沢・
寒水沢と交差する地点の中央付近から頂上近くまで,
昭和43年八甲田ロープウエーが完成し約10分で登れる。
山頂南東部には湿原が発達し,高層湿原植物の観察路
が整備されている。
ここから赤倉岳・井戸岳を経て八甲田大岳へ至る縦走路
があり,大岳までは約2時間の道程である。また、赤倉岳
との鞍部に毛無岱に下るコースも整備されている。
スキーヤーは、山頂駅近くの標高1,326mを本来の田茂萢
岳とし、地形図で田茂萢岳と標記する山体をニセ田茂と
称する。
山頂からは津軽・下北半島に抱かれた陸奥湾の眺望が
楽しめる。冬季スキー客でにぎわう。
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山岳赤倉岳
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 あかくらだけく青森市〉
青森市南部にある山。標高1,548m。八甲田山を構成する
山峰の1つ。第四紀洪積世の火山。
八甲田ロープウエーで田茂泡岳(1,324m)に至り,ここか
ら山頂を目指す。
火口壁は赤褐色に焼けただれ,周辺にはハイマツ・ミヤ
マオダマキ・イソツツジなどの高山植物が豊富である。
北八甲田縦走コースとなっており,当山から井戸岳(1,550m)
を経て八甲田大岳(1,585.6m)・酸ケ揚古か温泉に至る。
冬季にはスキーツアーコースも設けられる。
また、北側に田代平に下る比較的整備された登山路があり、
途中、八甲田山中最も東に位置するコメツガ林が見られる。
山頂からの眺望に優れる。
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山岳井戸岳
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 いどだけく青森市〉
青森市南部にある山。標高1、550m。八甲田山を構成
する山峰の1つ。八甲田火山のカルデラに生じた中央
火口丘で,玄武岩質安山岩や両輝石安山岩で構成され
る。中央に火口を有し,円錐形の美しい山体を呈す
る。八甲田ロープウエー山頂駅から酸ケ湯温泉に至
る北八甲田縦走コースが通る。
八甲田山系でイワブクロが生育するのは大岳の移植部
を除いてはここだけである。
位置図
春夏秋冬春夏秋
山岳大岳
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 おおだけ く青森市〉
八甲田大岳とも呼ばれる。青森市南東端にある山。標
高1,585.6m。八甲田を構成する山峰のうち最高峰。
中央に火口をもつ円錐形の山体を呈する。
新生代第四紀洪積世の火山で,安山岩で構成される。
標高が高まるにつれ,ブナ林−アオモリトドマツ林−ハイ
マツ帯一高山草本帯への植生変化が見られ,植物の種
類も豊富である。
八甲田登山は通常当山への登項を指し,登山道は酸ケ
湯温泉を起点に仙人岱コース・毛無岱コースがあり、
さらに八甲田ロープウエーを利用して赤倉岳一井戸岳を
経て当山に至るコースがある。
仙人岱、毛無岱への下り口および毛無岱にはヒュッテが
設けられている。
山項近くには鏡沼があり,クロサンショウウオの産地とし
て知られ,沼岸には小祠があり,八甲田神社と呼ばれる。
山項からは,陸奥湾一帯、北海道が望まれ,南方には
東北地方の高山が展開する。
酸ケ湯温泉から約2時間で登項できる。
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山岳石倉岳
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 いしくらだけ く青森市〉
青森市南部にある山。標高1、202m。八甲田山を構成
する山峰の1つ。八甲田火山の外輪山で,流紋岩や石
英安山岩で山体を構成する。
十和田北線の傘松峠付近、八甲田山南端に位置し,
急峻な登山道には多くの岩窟があり,そこに祠がある。
南面岩上から南八甲田一帯が一望できる。
岩壁には地衣植物のミヤマコゲノリが着生する。
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山岳硫黄岳
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 いおうだけ く青森市・十和田湖町>
青森市南部,上北郡十和田湖町との境界にある山。
標高1,360.2m。八甲田山を構成する山峰の1つ。
八甲田山南部に位置する。
八甲田火山のカルデラに生じた中央火口丘で,両輝
石安山岩溶岩で山体を構成する。
アオモリトドマツとチシマザサに覆われ,冬季スキーの
ツアーコースとなる。一帯の樹氷は見事である。
登山路は無い。4−5月堅雪期大岳登山コース、また
は石倉岳近くの十和田北線から1時間半で登頂できる。
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山岳子岳
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 こだけ く青森市・十和田湖町>
青森市南部にある山。標高1,478m。八甲田山を構成
する山峰の1つ。上北郡十和田湖町との境界に位置す
る。八甲田火山の中央火口丘の1つで,両輝石安山岩
からなる。八甲田大岳の東方,仙人岱から1kmの距
離にある。仙人岱および谷地温泉から登頂する。
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山岳高田大岳
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 たかだおおだけ く青森市・十和田湖町〉
上北郡十和田湖町谷地温泉の北西にある山。
標高1,552m。青森市との境界をなし,八甲田山を構成
する山峰の1つで、八甲田火山の中央火口丘である。
山容は円錐形で,中腹はアオモリトドマツ林で覆われる。
青森市街と十和田湖を結ぶ観光ルート十和田北線沿い
にある睡蓮沼から望む姿は絶景である。
谷地温泉から登山路が整備されているが、温泉近く
の一帯では泥濘となっている。
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山岳雛岳
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 ひなだけ く青森市〉
青森市南東部にある山。標高1,240.8m。駒込川上流
部こ位置し,八甲田山を構成する山峰の1つ。
八甲田大岳の東部に位置する。円錐形の実しい山体
を呈す。田代平から登山路がある。そのコースを山
頂へ登らずに西にたどると高田大岳と子岳の鞍部に
至る。
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山岳裏八甲田
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 うらはっこうだ く青森市〉
北八甲田の北側山麓に広がる田代平を中心とする地域
称。青森市から十和田湖に至る観光道路の十和田北線
沿いの地域を表にたとえ,観光開発の遅れたこの地域
を裏八甲田と称したが,この名称は現在あまり使用さ
れていない。また,青森市側では南八甲田を指す場合
もある。この地域は広々とした草原とブナ林のコント
ラストが美しく,ハイキングやキャンプ場として親し
まれている。田代平北端の馬立場には雪中行軍遭難者
銅像がある。
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山岳八幡岳
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 はちまんだけく七戸町・天間林村〉
上北郡七戸町西方にある山。標高1,022m。八甲田カ
ルデラの外輪山の1つとされ,天間林村との境界に位
置する。東方を,合流して七戸川となる作田川と和田
川が,西方を小坪川が開析する。山上には上川目神社
が祀られ,明治初年の「国誌」に「この山に八幡宮を
祭るなれは八幡岳と称し社を岳八幡宮と云ひしか明治
六年四月今の神社の名に改む」とあり,祭神が山名の
由来となった。また,「大曠野の西に孤踞し行旅皆目
標とせり」とあることから方位を知る重要な物標とさ
れていたことがわかる。古くから信仰の山として登山
者が多く,例祭も営まれる。山項からは展望が開け,
八甲田山一帯・三本木原台地から小川原湖・野辺地湾
が望まれる景勝地。ハイキングコースとしても知られる
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山岳南八甲田...
山岳逆さ川岳...
山岳横岳
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 よこだけ く青森市・黒石市〉
黒石市大川原東南方にある山。標高1,339.6m。南八
甲田を構成する山峰の1つ。青森市との境界をなす。
雄大な北斜面は,ブナ帯からダケカンバ・アオモリト
ドマツ林へと埴生が変化し,山頂付近には高層湿原が
発達する。北麓には,荒川が深く開析した城ケ倉渓谷
がある。
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山岳猿倉岳
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 さるくらだけ く十和田湖町〉
上北郡十和田湖町猿倉温泉西南方にある山。標高1,35
3.6m。南八甲田火山群を構成する山峰の1つ。ブ
ナ・アオモリトドマツなどが生育し,樹木の少ないと
ころにはチシマザサが密生する。猿倉温泉から南八甲
田の主峰櫛ケ峰へ至る登山道が通る。山頂からは,南
北両八甲田の山容が一望できる。初夏,タケノコ狩り
でにぎわう。
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山岳駒ヶ嶺
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こまがみね<青森市、十和田湖町>
標高1,416.3m。南八甲田火山群を形成する山峰の一つ。
上北郡十和田湖町との境界に位置する。アオモリトドマツ
の森林に覆われる。
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山岳櫛ヶ峰
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 くしがみね  上岳ともいう。
青森市・南津軽郡平賀町との境界にある山。
標高1,516.5m。新生代第四紀の火山で,八甲田山を
構成する山峰のうち南八甲田の最高峰。
輝石安山岩と集塊岩で山体を構成する。明治
初年の「国誌」に「櫛峰」として「小浅瀬石山の西北
の方に連り北は一大区の二小区の荒川村西は六小区に
隣り此の区の大山にして雑樹繁翳し遠近目標とす」と
ある。山腹一帯はアオモリトドマツ(オオシラビソ)
を主とする森林が発達するが,山腹斜面一帯は雪田植
物の草原となる。東麓には広大な黄瀬萢湿原が見
られる。登頂には,十和田北線に沿う上北郡十和田湖
町猿倉温泉から黄瀬萢を経て行うコースと猿倉岳を経
由して尾根道を進むコースがある。頂上には祠があ
る。山頂からは北八甲田火山群をはじめ,津軽・下北
両半島、 これに抱かれる陸奥湾,東方に太平洋と360度
の展望が楽しめる。冬季にはスキーのツアーコースと
して利用される。
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山岳乗鞍岳
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のりくらだけ  <十和田湖町>
蔦温泉北西部にある山。標高1,449.8m。猿倉温泉から
黄瀬萢へ至る旧道、一の沢が登山口となる。
アオモリトドマツの森林が発達する。
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山岳南部赤倉岳
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なんぶあかくらだけ
蔦温泉北西部にある山。標高1,m。赤沼及び猿倉温泉から
の二つのコースがある。地図にある乗鞍岳からのコースは
ネマガリ竹が繁茂し歩行は極めて困難である。
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山岳十和田山
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 とわだやま く十和田湖町>
上北郡十和田湖町宇樽部北東にある山。標高1,053.
8m。十和田火山の外輪山の最高峰。十和田湖東岸の
カルデラ壁に位置する。湖畔の宇樽部・子ノ口・惣部
林道から登山道がある。ナラ・ブナ林からチシマザ
サの植生に変化し,山頂にはオンコ(イチイ)の群落
が見られる。このため御子岳とも称される。山頂
からは,周囲の展望が開け,十和田八甲田一帯から,
十和田八幡平国立公園の南半,八幡平・岩手山が望ま
れる。
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山岳戸来岳
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 へらいだけ く新郷村・十和田湖町〉
上北郡十和田湖町と三戸郡新郷村の境界にある山。三
ツ岳(1,159.4m)と,その東方1kmにあり新郷村に
属する大駒ヶ岳(1,144m)の2峰からなる。新生代
第四紀安山岩で構成される。三ツ岳北方には大規模な
コメツツジの純群落があり,また,三ツ岳山頂と大駒
ヶ岳山頂には樹高1〜1.5mの矮性イチイの大きな群
落があって,学術的に重要視されている。登山道の整
備が十分でなく、簡単には登れないが、周囲に高い山
がなく、頂上からの眺望に優れ,特に十和田湖が俯瞰
できる。また,八戸港その他の港から太平洋沿岸に出
漁する小型船の目標にもなっている。三ツ岳は十和田
八幡平国立公園の区域内に入る。
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山岳十和利山
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 とわりさんく新郷村・十和田湖町〉
上北郡十和田湖町・三戸郡新郷村と秋田県との境界に
ある山。標高990.9m。十和田湖南東約6kmに位置す
る。新生代第四紀安山岩からなり,頂上がやや円い円
錐形をなす。南側の迷ケ岱から整備された登山道があ
り、約1時間30分で山頂に達する。頂上からの四囲の
眺めに優れ、特に十和田湖の眺望は絶景である。
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