4.魔界政府と闇魔界
我々魔界の者たちにとって、特筆すべきはやはり闇魔界との関係であろう。
前の章の2.魔界の分裂で記した通り、現在の魔界は二つに分裂している。
共存派である魔界は民による魔界政府の支持のもと、秩序ある民主的な良政が行われている。この制度は人間界に置ける「三権分立制」と似た部分がある。
現在、魔界政府の筆頭は分裂期から変わらず
バフォメット氏である。
彼は闇魔界の現筆頭であるルシフェル氏とは親交だったとの記述があるが、分裂期から今日までの対談(私・公不問)は確認されていない。
一方、闇魔界の筆頭(制度が良く知られていないため、この表記を用いる)は分裂期から変わらず
ルシフェル氏となっている。
前述した通り、闇魔界への干渉は我々の力を以ってしてでも出来ないため、記憶と記述に頼るしかない。
よって詳しい制度は知られてはいないが、闇魔界では筆頭であるルシフェル氏以下特別政府や政党があるわけでもなく、秩序のない荒れた世界となっている。
闇魔界そのものが大きな一つの組織であると考えたほうが良かろう。
だがその組織に統率が取れているかは別問題である。
闇魔界はこれまでも人間界の侵攻を見計らい、総数数え切れぬほどの配下を人間界へ送っている。
人間界との共存を図るため、彼等を一刻も早く人間界から追い出すことが我々魔界政府と魔界の住民の使命でもあると言って過言ではないだろう。