十三湊遺跡-市浦村埋蔵文化財調査報告書 第10 集
 

十 三 湊 遺 跡

〜第18 ・76 次発掘調査概報 遺構・遺物図版編〜

2000 年3 月

青森県市浦村教育委員会
(Web見本版)


 原本は、青森県市浦村教育委員会が2000年3月に刊行した上記報告書である。印刷部数は、わずか300部と限られているため、全国の考古学関係者に配布することは不可能です。また、全国の公立図書館全館に納本することすらできません。
 そこで、印刷を請け負った青森オフセット印刷株式会社(青森市本町2-11-16 電話017-775-1431)の全面的ご協力の下、報告書をPDFファイルにして、Web上での公開あるいはCD-ROMでの配布を構想しました。幸い、PDFファイルは市浦村教育委員会のご承諾を得まして、案内人にもコピーをいただき、自由に使用して良い旨の了解を得てあります。
 問題は、いかにして、このファイルを必要としている方々にお届けするかと言うことです。原本は、写真図版を含めるとA4版で350ページ程あり、これを圧縮率の高いPDFファイルにしても約27Mという大容量となりました。簡単にWeb上で公開できる容量ではありません。最初の55ページほどを2MのPDFファイルにまとめましたので、これで全体の感じをつかみ取っていただきたいと思います。
 そこで、皆様にご相談があります。このままWeb上で、いくつかに分割してPDFファイルを公開し、必要な方はダウンロードしていただく方法をとるか、あるいはCD-ROMにして、希望者に実費頒布した方がよいのか。ご意見をお聞かせ下さい。ご意見はこちらまでお願いいたします。
 追記:都合により、一時ホームページからはアクセスできないようにしていましたが、ある方から「幻の報告書」とのご指摘をいただき、再掲載の必要性を強く感じました。再掲載への「障害」はないと判断されますので、ここに改めて掲載する次第です。少しでも皆様方のお役に立てれば、これにすぐるものはありません。(2001年9月2日)

(PDFファイル見本版-約2M)


(原本本文見本)

序 文

十 三湊遺跡の学術調査は1991 年の国立歴史民俗博物館の調査開始以来となりますので,今年で10年目を迎えることになります。その間,中世港湾都市遺跡としての十三湊の実態がより明らかとなり,平成10 年度には大規模な発掘調査を十三小学校グランドにおいて行い,推定領主館周辺の実態が明らかとなりました。さらに,平成11 年度では青森県教育委員会によって港湾施設の解明が進んでおります。これを受けて平成12 年度には発掘10周年の歩みを記念して十三湊フォーラムを実施し,広く村民・県民の皆様に中世十三湊の実像を紹介してまいりたいと存じます。
 さ て,本報告書は市浦村教育委員会が平成8 ・9 年度に実施した推定領主館の調査(十三小学校裏手)の遺構・遺物図版編であります。本書が十三湊遺跡や日本中世史の解明に役立つ資料として広く活用していただければ,幸いです。
 ま た,調査全般にわたって,多大な御指導・御助言をいただきました文化庁記念物課,市浦村遺跡整備検討委員会,青森県教育委員会,富山大学考古学研究室の諸先生には心から感謝申し上げます。今後,ますます十三湊遺跡の調査・研究及び史跡指定を目指した史跡公園化の推進に努めていく所存です。

平 成12 年3 月

市浦村教育委員会

教 育長木 村 義 光

 

例 言

1 .本書は平成8 年度,平成9 年度に実施した青森県北津軽郡市浦村大字十三に所在する十三湊遺跡の発掘調査成果を収めた報告書<遺構・遺物図版編>である。なお,調査成果<本文編>の報告は平成12 年度刊行予定である。

2 .調査は文化庁記念物課,青森県教育委員会文化課,市浦村遺跡整備検討委員会,富山大学考古学研究室の指導協力を得て,市浦村教育委員会が実施した。

3 .遺物の復原・実測,図面の整理・製図,写真撮影は榊原滋高(市浦村教育委員会学芸員),長利豪美(調査補助員)を中心に佐藤美矢子,伊藤美枝子,一戸勝子,柏谷由美子,三和新一,工藤邦博,丁子谷瑞穂,葛西節子,成田ヨシエ,山田紀子(地元作業員)で行った。但し,写真撮影の図版39 1241 の遺物だけは勝田徹氏(国立歴史民俗博物館)に撮影頂いた。

4 .資料の分析・鑑定については,下記の方々にお願いした。(敬称略)

掘立柱建物の復原 高島成侑(八戸工業大学教授)・佐々木浩一(八戸市博物館)

石製品の石質鑑定 山口義伸(青森県環境生活部県史編纂室)

砥石・硯の産地同定 汐見一夫(鎌倉考古学研究所)

瀬戸製品の器種分類・年代鑑定 藤澤良祐(瀬戸市埋蔵文化センター)

肥前陶磁の器種分類・年代鑑定 関根達人(東北大学埋蔵文化財調査研究センター)

樹種・種子同定 吉田生物研究所

木製品の年輪年代 光谷拓実(奈良国立文化財研究所)

漆製品の塗膜分析 四柳嘉章(漆器文化財研究所)

地中レーダー探査 酒井英男(富山大学理学部助教授)

ただし,塗膜分析の報告は十三湊遺跡第86 次調査分で併せて報告することとなっている。木製品の年輪年代については現在分析中であり,改めて報告する次第である。掘立柱建物の復原については,調査面積が狭小であり,正確な復原案は現時点では困難点が多いため,調査面積の拡大を待って改めて検討することとした。なお,分析・鑑定等の記述についての誤りがあれば,すべて編者の責任である。

5 .土層の色調観察には「新版・標準土色帳」(農林水産技術会議事務局1995 年)を使用した。

6 .発掘調査の指導や本書の作成に際しては,市浦村遺跡整備検討委員会の諸先生方や上記の方々の他にも次の関係各位の御指導・御協力を賜った。

市 浦村十三小学校,岡村道雄・坂井秀弥(文化庁記念物課),鈴木和子・工藤忍(青森県教育委員会),工藤清泰(浪岡町史編纂室),伊丹まどか(鎌倉考古学研究所),藤田明良(天理大学),盆野明弘(津市教育委員会),越田賢一郎(北海道埋蔵文化財センター),田中則和(仙台市教育委員会),八重樫忠郎(平泉町文化財センター),中野晴久(常滑市教育委員会),飯村均(福島県教育庁文化課),山口博之・水戸弘美・高桑登(山形県埋蔵文化財センター),大野淳也(小矢部市教育委員会),半沢 紀(北奥文化研究会)

7 .出土遺物・調査記録類は市浦村教育委員会で管理・保管している。

 

凡 例

1 .本書は本文,挿図,表,写真図版とからなる。本文は調査の目的,調査の方法と経過,基本層序までの記述を行っている。調査成果に係わる本文は平成1 2 年度に調査成果<本文編>として分冊報告する予定である。

挿 図には遺構の個別実測図,遺物実測図がある。表は土層観察表,遺物観察表がある。写真図版は遺構の個別写真,遺物写真を掲載している。

2 .出土遺物については遺構出土遺物,出土銭貨,遺構外出土遺物の順で記述した。遺構出土遺物については共伴関係が明らかになるようにした。出土銭貨は遺構内及び遺構外出土資料を一括して原寸大で掲載した。遺構外出土遺物は時代別(近世・中世・古代),種類・器種別でまとめて行った。ただし,資料整理の不備で遺物整理番号の重複などの遺物は第131 図でまとめて掲載した。巻末において遺物観察表及び観察表に係わる凡例を記した。

3 .出土遺物の名称について,珠洲製品は「珠洲系」とすべきものも含まれているが,中世後期(1 4 〜1 5 世紀)を主体としているので,便宜上「珠洲」とした。国産の施釉陶器である瀬戸美濃製品については大窯製品が出土していないので,「瀬戸」とした。「瓷器系」としたものには越前,常滑,信楽,或いは在地系が含まれる。

越前・常滑製品は同様の型式変化を辿っており,識別が困難である。信楽については長石の吹き出しが多く見られるなど胎土の肉眼観察によってある程度識別可能である。日本海ルートの交易を考えると大半は越前製品に含まれると思われるが,太平洋ルートからの搬入として常滑製品も考慮に入れておきたい。また,越前・常滑・信楽に含まれない在地的な製品も含まれている。「朝鮮」としたものは高麗・李朝青磁である。

4 .遺構名称についてはSP 柱穴,SA 柵・塀(布掘り溝),SD 溝・堀,SE 井戸,SK 土坑(土坑墓も含む),SX 集石遺構(集石土坑も含む)とした。

遺 構番号は遺構名称別に通し番号を付している。このため,調査途中で遺構が消滅したり,異なる遺構であったなど支障をきたしている。番号を新たに付け直すと煩雑になるため,遺構が消滅したものは欠番になっている。ただし,井戸・土坑の番号変更はこの限りではない。

ま た,中世面で検出された遺構に関して,区画遺構としたものにSD ,SA があるが,検出時に遺構番号を付したため,すべてSD として扱っている。さらに,SX 集石遺構としたものには大きく掘り込んで礫を廃棄したものもあり,集石土坑とするべき遺構が含まれている。これら遺構の詳細については調査成果<本文編>において述べることとする。

5 .本書の作成,遺物観察表の作成に際して,下記の文献を参考に行った。

国立歴史民俗博物館 1 9 9 4 『日本出土の貿易陶磁 東日本編1 』国立歴史民俗博物館資料調査報告書5

藤澤良祐 1996 「中世瀬戸窯の動態」『古瀬戸をめぐる中世陶器の世界〜その生産と流通〜』財団法人瀬戸市

埋蔵文化財センター設立5 周年記念シンポジュウム

吉岡康暢 1 9 9 4 『中世須恵器の研究』吉川弘文館

横田賢次郎・森田勉 1 9 7 8 「太宰府出土の輸入陶磁器について」『九州歴史資料館研究論集4 』九州歴史資料館

宇野隆夫 1 9 9 2 「食器計量の方法と意義」『国立歴史民俗博物館研究報告』第4 0 集,国立歴史民俗博物館

(財)郡山市埋蔵文化財発掘調査事業団ほか 1 9 9 8 『荒井猫田遺跡−第1 次〜第6 次発掘調査報告−』

(財)富山県文化振興財団 1 9 9 4 『梅原胡摩堂遺跡発掘調査報告(遺構編)−東海北陸自動車道建設に伴う埋蔵

文化財発掘報告氈|』富山県文化振興財団埋蔵文化財発掘調査報告第5 集

(財)富山県文化振興財団 1 9 9 6 『梅原胡摩堂遺跡発掘調査報告(遺物編)−東海北陸自動車道建設に伴う埋蔵

文化財発掘報告−』富山県文化振興財団埋蔵文化財発掘調査報告第7 集

 

目 次

第1 8 ・7 6 次調査

1 調査の目的

2 調査の方法と経過

3 基本層序

4 まとめと課題

付 章 自然科学的調査の成果

報告書抄録

付図1 十三湊遺跡第1 8 ・7 6 次調査 遺構平面図

付図2 十三湊遺跡第9 ・1 8 ・7 6 次調査 遺構平面図


HOME