俺の名前はもちろん偽名だ。


職業は情報屋、副業で傭兵もやっている。


年は23独身、性別は言うまでもなく男。


今俺はある男からの依頼でビッグ・シェルにちょっと潜入している。


依頼内容はテロが起きたビッグ・シェル内の情報をできるだけ詳しく欲しいとの事でハッキングだけではらちがあかず結局直接乗りこむことにした。
まぁ、潜入経路は極秘と言うことで伏せておくがとにかく俺はうまく乗り込むことができ今回の以来は幸先が良いと少しほくそえんでいた。


さっきまではな。






















The Beginning






















今俺の潜んでいる場所の下では殺戮が繰り広げられている。


SEAL部隊と思われるメンバーが必死に銃を乱射するが、その的になっている男にはかすり傷ひとつつけることができない。


男はクルリクルリと回転しつつ弾をはじき隊員に近づくと手に持っているナイフで次々と殺していく。


(あの動き…とてもじゃないが人間わざじゃない。むしろアレが俺と同じ人類とは認めたくない)


そして男は殺した隊員をつかむと…首筋に顔をうずめた。


(ホモか!?人外なうえにホモなのか!?)


そして血の匂いで充満した部屋の中に何かをすする音が響く。


(あの顔、そして血を啜る行動…もしかしてデッドセルのヴァンプか?)


俺が息を潜め行動を観察する中ヴァンプ(と思われる)は次々と隊員を殺し血を吸ってゆく。
幸い俺の気配に気づいた様子もなく恍惚の表情で獲物を狩りつづける。
そして最後の一人の血を啜っている時おもむろに扉が開いた。


そこにはものすごく身体にフィットしたスーツを身にまとっている青年が立っているが…


とてもじゃないが彼の装備ではヴァンプに勝てるとは思えない。
SOCOMではなくM9というあたりがなにか間違っている気がする。
そして俺の予想を裏切ることなく青年は追い詰められていく。
助けたほうがいいのかなぁとか思いつつも俺がヴァンプに勝てるとは到底思えなく、結局俺は事の成り行きを見守ることにした。


「伏せろ!!」


さて、この後どうするかなぁとぼんやりしていたところ急に声が聞こえた。
…いや、これにはさすがの俺も驚いた。
まさかSEALの生き残りがいるとは。


「俺はイロコィ・プリスキン中尉だ。」


またまたぼんやりしているうちにいつの間にかヴァンプが消えていた。
ちょっと気がゆるみすぎているのかもしれない。


チュインッ


またまたぼんやりし反省していると俺が隠れている近くに銃の弾が当たる。
はっとして2人のほうを見るとプリスキンと名乗った男が俺が隠れている場所に向かって銃を構えていた。


「いきなり何やってるんだあんた。」
「そこに隠れてるの、出て来い。」
「誰かいるのか!?」


青年がいかにも「頭大丈夫か?」という顔でプリスキンを見るが、プリスキンはそんな青年に構わず更にもう一発こちらに向かって撃ってくる。


正直俺は自分の気配が悟られたことに驚いていた。
自慢じゃないが今まで色々なところに潜入し、情報を仕入れてきたが今まで一度も気配をさとられたことは無かった。
が、しかしこの男は俺の気配に気づき、なおかつ正確な居場所まで把握して見せた。


(…SEALという話、怪しいな。)


俺が出るか出まいか考えているとプリスキンは更にもう一発俺の隠れているところに向かって打ってくる。
彼ほどの能力の持ち主なら俺に直接当てることも可能なのに何故か威嚇射撃しかしてこない。
が、しかしそろそろしびれを切らしてきたのか俺の体に向かって性格に照準を合わせる気配がして俺は慌てて天井のちょっとしたスペースから飛び降りた。


「誰だ!!」


青年は俺が出てくると同時にM9を構えたが、プリスキンは反対に銃を下ろす。


「いや、誰だって…それ打たれたら俺返事もできないと思うんだが。それに人に名前を尋ねるときは自分から名乗るのが礼儀って物だろ。」
「答えろ!!」
俺の答えが気に入らなかったのか青年は銃を構えなおし更に問い詰めてくる。
。」
「デッドセルか!?」
「いや、違う」
「じゃぁSEALか?」
「それも違う。」


俺の答えに青年がだんだんとイラついてくるのが良くわかる。
…なんだかからかうのがちょっと楽しいかもしれない。

ふとプリスキンの方にちらりと目線を向けるとなにやら楽しそうな顔でこちらを見ている。
…楽しんでるな。


「ここで何をしている?」
「お仕事。」
「…もう一度聞くここで何を」
「やめとけ若いの。」


青年がもう一度同じ事を質問しかけたところでやっとプリスキンが止めに入った。
青年は止めたプリスキンに「だがっ」とかなんとか言っているが結局はひき下がる。


「話はお互い聞いていたから自己紹介はいらないな。仕事、と言っていたが職業はなんだ?」
「ただの情報屋だ。ところでプリスキン、あんたの職業はなんだ?」


俺がそう言うとプリスキンはさも意外そうに肩をすくめた。


「さっきから俺たちの話を聞いていたんだろう?」
「軍人…には見えないが?」
「よく言われる。こそただの情報屋にしてはずいぶんと気配を殺すのが上手いようだが?」
「俺は昔から隠れ鬼が大の得意でね。」
「まぁいい。どうやら敵じゃないようだしな。」


敵じゃない…か。


「が、味方とも言えないだろ?」
「そりゃそうだ。世の中敵と味方だけで区切れるほど単純じゃない。」
「同感だ。」


お互い肩をすくめながら言っていると青年が不機嫌絶好調といった様子で割り込んできた。


「で、結局あんたらは何者なんだ?」
『同じ事を何度も言わせるな。』
「……あんたら本当に初対面か?」


どうやらプリスキンも同じ事を思ったらしく台詞がかぶってしまった。
お互い驚いてちょっと目を見合わせるとその様子に疑問を感じたのか青年がさらに突っ込んでくる。
その言葉に俺たちは更に肩をすくめるとそれぞれ口を開いた。


「別に初対面だなんて言ってないな。」


俺がそう言うと青年は警戒を増し、俺たちに向かって銃を構える。


「待て若いの。俺たちは初対面と言っていないが実際に初対面だ。」
「それに俺たちがたとえグルだったとすると君は残ったもう一方の相手をしなければならないって…だから俺に向けるなって。」
「まったくだ。やめておけ若いの、お前の腕じゃ俺やは倒せないぞ。」
「いや、だから俺はただ隠れ鬼が上手いだけで戦闘能力は全くない。」
「謙遜をするな。」
「本当に謙遜じゃなくてな、」


「いいかげんにしろ。」


つい青年を無視してしまったようだ。


しかし俺は青年にも言いたいことがある。


「だいたい他人の名前は聞いといて自分は名乗らない奴に不審がられる筋合いは無いぞ。」
「そうだな。何故自分の名前も名乗らない奴に不審がられにゃならん。」
「それはっ……!!」
「ま、それは置いておくとしてあそこにいるのは海軍大佐じゃないか?」


先ほどから視界の端にちらほらと映っていた死体を俺が示すと、プリスキンもそれに気づいていたらしく是という答えを返してきた。


「この手錠はなんだ?」


いつの間にか銃をおろした青年が大佐を覗き込んで俺に聞いてきた。


「…なんだと言われてもな。手錠としか答えられないぞ俺は。」
「………」


青年がまた怒っているようだが俺は気にしない。
というか気づかなかったことにする。


「聞き方が悪いな若いの。、この手錠の先に繋がっていたものはなんだ?」

プリスキンは青年をまたも止めて俺に質問をしてきた。

「黒いケース、それしか俺にはわからない。が、大佐の腕に繋がれていた物ださぞかし重要なものだったんだろうな。」


「中身の予想は?」
「予想はつくが………確信が持てない。」

俺がそう言うとプリスキンはこれ以上俺からは何も聞きだせないと悟ったのか静かに引いた。

「すまないな。俺は情報屋として確信の持てない情報は絶対に口外しないことにしてるんだ。」
「ま、しかたあるまい。……ところでひとついいか?」
「ん?なんだ?」


プリスキンは今までの真剣な表情を崩し少しニヤついた顔をした。


「そのやたらと怪しい格好はなんだ?」


…………

………

……




「しまったはずすの忘れてた!!」


俺の沈黙にさも「興味津々」といった表情で俺を伺っていた2人は驚いて少し後ずさった。


「つかこんなのつけてれば誰だって怪しむじゃないか!!」


そう言って抱えた俺の頭には顔の上半分を覆うマイク付のゴーグルみたいなサングラスがついていた。

実はこのサングラスもどき、高性能な物で暗視ゴーグル、双眼鏡、更には音を拾ったり、無線で通信もできる。
左耳のほうにあるつまみを回すとそれぞれの機能に切り替わり、場面によって簡単に切り替えられる優れもの。
ちなみに作ったのは俺。
さすがだな俺!!


ふとわれに返り2人を見るとあきれた顔でこちらを見ていた。


「どうした?」


俺がそう言うと2人(特に青年)は更にあきれた顔になり、お互い顔を見合わせたあとため息をつきつつ口を開いた。


、あんた考えてたこと全部口に出てるぞ。」
「まさかこんな愉快な奴だったとはな。」

「………で、出てた?」
『あぁ』

俺が恐る恐る聞くと丁寧にも声を揃えさらには頷くタイミングまで揃えて答えてくれた。


「…忘れろ。」


『無理だ』


そしてまた声を揃え頷くタイミングを揃えようとした時プリスキンが急にふらついて壁にもたれかかった。


『プリスキン!?』
「大丈夫だ。ただちょっと疲れただけだ。」


そういって腰を下ろした時プリスキンが持っている無線から援軍の要請が入った。
が、しかしプリスキンは無線に出る様子もなくタバコに手を伸ばし吸い始める。


「……出なくていいのか?」
「…………」


青年の質問にも、応援の要請にも答える様子もなくただプリスキンは無言でタバコをすい続けている。


「俺は行く。」


青年がおもむろに小さな階段を上り、BC連絡橋へと歩き出した。


「俺はここで少し休む。なにか聞きたいことがあったら無線で連絡をよこせ。141.80だ忘れるなよ。」


プリスキンはそう言いつつ青年にタバコと弾が空のSOCOM、それとSOCOMの銃弾を投げ渡した。
青年はそれを受け取るとSOCOMには多少うれしそうな顔をしたがタバコには少し苦い顔をした。


「俺はコレは吸わない。」


コレはって……他に何をすうんだ青年よ。


「じゃぁ俺からはコレをあげよう。」


そして俺は懐からレーションと止血材を取り出し青年に投げつけた。


パシッ


青年はそれを上手く受け取ると俺たちに背を向け歩き出す。


「ちょっとまて青年。呼びづらいから名前ぐらい名乗っていけ。」


俺のその言葉に青年は足を止め少しためらった後勢い良く振り返り口を開いた。


「雷電。俺の名前は雷電だ。」


「OK雷電。俺の無線は145.01だ。なにか聞きたいことがあったら連絡するといい。」
「わかった。」


そして雷電は立ち去り残ったのはいつの間にか寝てしまったプリスキンと俺だけだ。



いや、まだ寝たふりだ。



「それじゃプリスキン。俺はしばらくまた隠れるから何かあったら無線で連絡してくれ。」


階段を上りつつ俺が言うとプリスキンは「了解」とでも言うかのように手を振ってくる。


そして俺はまた天井付近に潜むと今までの会話から取れたデータを処理し始めた。








中間報告1
どうやらテロのメンバーはデッドセルが中心のようだ。
海軍大佐から手錠で繋がれていた黒いケースを奪っていき、また大統領も連れて行ったことからこの黒いケースと大統領はなんらかの関連性があると思われる。
なお、今現在確認されたデッドセルのメンバーはヴァンプ、ファットマン、クイーンの3名。
大統領は人質と言うよりもなんらかの用事があるようだ。
潜入中正体不明の男1人とSEAL部隊の生き残りに遭遇。
正体不明の男は装備から察するにFOXHOUNDのようだが確認はまだ取れていない。
SEAL部隊の生き残りと名乗る男は応援要請の無線に応答しなかったこと、SEALにしては能力が高いことからSEALではない可能性がある。













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アトガキ(懺悔)
書いちゃいました、書いちゃいましたよ。
試験前で勉強しなけりゃいけないとゆうのに幻水の続きを差し置いて書いちゃ
いましたよMGS2。
ちなみにこの話は続きません。
これは3人の出会い編みたいなものでこの後書くのは設定が同じでも時間軸が
違うものとかが主になるかと。
でもプリスキンがダンボール被って走ってるシーンはぜひとも書きたいなぁ。
ついでに管理人は英語の成績が地を這っていたほど苦手なので英文が間違って
いても一切気にしないでください。よろしくおねがいします(泣)

10/02脱稿