歯周病について知っておこう


悲しいことに日本の成人が歯周病にかかっている割合はどのデータを見ても半数以上なんですよね。
しかも25歳以上のおよそ80%が歯周病にかかっているというではありませんか!これ本当なんかなぁ・・・
でも事実、歯肉炎にかかっている高校生をいっぱい見かけます。小学生も見ました。

これらのデータから察するに、大人になれば5人のうち1人しか健康な歯ぐきの人がいないということになりますが、あなたはその1人だいう自信はありますか?
ここでは歯周病の恐ろしさを知ってもらい、自分の口の中の健康状態がどの程度なのかを自覚していただけたらと思います。



歯周病ってどんな病気?
恐るべし!歯周病
歯周病の段階と症状
歯医者さんでの歯周病の判断の仕方
歯周病の原因
歯周病の治療方法




歯周病ってどんな病気?

1.発病場所
歯周病ってなんだかわかりますか?と聞くと、答えられない人が多い。
昔は「歯槽膿漏」とも言われていましたが、今はどうやら「歯周病」という呼び名で広まっているようです。

そもそもよく聞く「むし歯」と「歯周病」の違いとは何か?
むし歯は歯が溶ける、歯に穴があく病気。つまり「歯」自体が起こる病気です。
これに対して歯周病は文字通り、歯の周りに起こる病気なのだ。
せっかくむし歯はないのに歯の周りが病気になってしまい、抜歯する人も少なくありません。

じゃあ歯の周りってどこを言うんだろう?
歯医者さんでは歯肉、歯槽骨、歯根膜、セメント質を言うらしいが私が覚えてもらいたいのはこの2つ。
「歯肉」(歯ぐき)と「歯槽骨」(歯を支えている骨)だ。

意外と知られていないのは、歯は顎(あご)の骨によって支えられているということ。まさに縁の下の力持ちだ!
歯ぐきが歯を支えていると思っている人が多いようですが、歯ぐきはペロンとめくれば薄っぺらな皮みたいなもんです。




2.病状
まず最初に歯ぐきが腫れます。
自覚症状としてはちょっと触っただけで(歯ブラシを当てたとき、リンゴをかじった時など)血が出ます。
見た目としては歯ぐきが健康なときより膨らんでいて真っ赤でぶよぶよしています。

そしてさらに悪化すると歯を支えている骨が溶けていきます。
骨が溶けていくと歯ぐきの位置も下がるので食べ物が挟まりやすくなった、以前より歯が長くなったように見える、冷たいものがしみる、といった症状が出ます。
さらに悪化すると膿(ウミ)も出てくるので口の中がネバネバして口臭もひどい。
歯の周りの骨がほとんど溶けてなくなると、歯はグラグラ動いてとうとう抜け落ちてしまいます。

歯周病は痛みなどの自覚症状が出にくいので知らない間に進行し、気がついたときにはもう手遅れで歯医者さんに「抜きましょう」と言われることも多い。
上記の症状に一つでも当てはまるものがあれば早めに歯医者さんに行って調べてもらいましょう。




3.じつは生活習慣病
歯周病は高血圧や高脂血症、糖尿病と同じように生活習慣病だということをご存知ですか?
つまり歯周病になった人は、病気になるような生活態度を続けてきたということです。

よく、歯周病にかかった人が「自分は毎日ちゃんと歯を磨いてるんだけどなぁ…」と言いますが、
「磨いてるつもり」と「実際磨けている」の違いを理解していないようです。
重要なのは歯の磨き方。歯ブラシをただ当てりゃあいいってもんじゃないんです。
メタボリックシンドロームを心配しているのなら、ついでに歯周病についても考えてみてください。
お腹まわりを気にしているなら、口の中の汚れも気にしてもらいたいものだ。




恐るべし!歯周病

1.恐ろしい歯周病菌
昔テレビで(たぶん特命リサーチ200Xという番組だったと思う)死亡原因が歯周病菌だったという、興味深い出来事を放送していたのを覚えてします。
死亡解剖の結果、口の中にしかいないはずの歯周病菌が肺だったか胃だったか忘れましたが内臓で発見されたというのです。

CMでもよく「歯周病菌連鎖を口腔内で食い止めろ!」と流れていますが、歯周病菌は口の中だけでなく全身の健康にも影響を及ぼします。
それにはどうも歯周病菌が「毒素」を排出しているのが原因らしい。



2.歯周病は全身の健康に影響する
歯周病はこんなにも全身に影響を及ぼす可能性があります。

脳━脳梗塞、脳出血

目━結膜炎、角膜炎

鼻━副鼻腔炎、蓄膿症

耳━化膿性中耳炎

胃━胃炎

腎臓━腎炎

心臓━冠動脈疾患

骨━関節リウマチ炎

呼吸器━誤嚥性肺炎、咽頭炎

妊娠している人━早産、低体重児出産

糖尿病━さらに悪化


これらは資料を見て書きましたが、はっきり立証できるデータではありません。



3.歯周病は友人関係や人格まで変える!?
歯周病が影響を及ぼすのは全身疾患だけではない。下手すりぁ性格も変わってしまう危険もある。

歯周病になったら・・・
口が臭くなる ⇒ 話し相手は臭いのがいやで遠ざかります。口臭はマイナスイメージとなり、仕事の商談が成立しない、お見合いで断られるなどの支障がでます。
噛むと痛い ⇒ 硬い物が食べられない。 ⇒ 偏食になる。 ⇒ 栄養失調、免疫力が下がって病気がちになります。

歯周病で最悪歯が抜けてしまったら・・・
噛み合せが狂う ⇒ 頭痛、肩こり ⇒ イライラしやすくなる。はたから見れば短気に見える。
前歯がないとバカっぽく見える。
発音がおかしくなる。
顔がゆがんで表情が変わる。(マジで歯がなくなると顔がゆがむんです!)⇒ 人相が悪くなる


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歯周病の段階と症状

歯周病の進行は
健康な歯ぐき → 歯肉炎(歯ぐきが腫れる) → 歯周炎(歯を支えている骨が溶けていく) と段階を踏んでいきます。
ここでは歯ぐきのことを「歯肉(しにく)」、歯を支えている骨の部分を「歯槽骨(しそうこつ)」と表示します。

健康歯肉 歯肉炎 軽度の歯周炎 中度の歯周炎 重度の歯周炎
歯肉はキレイなピンク色でひきしまっている。
歯と歯の間の歯肉はとがっている。
歯肉は赤みを帯び、腫れあがっている。
歯と歯の間の歯ぐきは丸い。
歯槽骨は正常。
歯石が目立つようになり、この頃から歯槽骨が溶けていく。
ちょっとの刺激で血が出やすくなる。
歯肉の色が黒紫色になる。歯が長く見えたり、ウミが出て口臭が続くようになる。 ウミが出たり、歯がグラグラして物が噛めなくなる。

歯肉炎のうちに正しく歯磨きをすれば、1〜2週間で健康な歯ぐきに戻ります。
いったん骨が溶けてしまうと、この時点でいくら歯磨きをがんばっても骨が再生されることはありません。
歯医者さんできちんと歯石を取ってもらい、正しい歯磨きを続ければ進行を食い止めることはできます。




歯医者さんでの歯周病の判断の仕方

1.見た目や臭いで
専門家はぱっと見ただけで歯ぐきが腫れているかわかるし、歯石も歯ぐきのふちより上についているものは見ればすぐわかります。
口の臭さは鼻がつまっていない限り誰でもわかるでしょう。
特に歯周病は独特の臭いがしますね。



2.歯ぐきの深さを測る
歯ぐきの深さを測ることで歯ぐきの腫れ具合や歯を支えている骨が溶けているかを判断します。
2〜3mm : 健康な歯ぐき
4〜5mm : 歯ぐきが腫れている疑いあり。
6mm以上 : 歯の周りの骨が溶けている可能性大。



歯ぐきの深さを測る器具。
歯医者さんではポケット探針またはプローブと呼ばれており、測りやすいように1〜3mmずつメモリがついていている。



歯ぐきの内側にプローブを入れて深さを計測する。1本の歯につき6箇所入れます。
このプローブを入れた時に出血があるかどうか、ウミが出ているか、感触で歯石がついているかも同時に調べる。




3.出血の有無
歯ぐきの深さを測る検査のときに同時に診ます。
上の写真にようにプローブを入れた時、血が出たかどうかどうかをチェックしていきます。
健康な歯ぐきなら血は出ない。腫れている歯ぐきならちょっと触れただけで血が出るのだ。
つまりよく聞く「リンゴをかじったら血が出る」という人は歯周病の疑いあり。
ただし、歯ブラシを強く擦りすぎたために歯ぐきが傷ついてしまい出血するのとは違います。(この時私は自分が歯周病かと勘違いしたことがあります)



4.歯のグラグラ度
歯の動きが大きければ大きいほど、歯を支えている骨もそれだけ溶けていると判断する。



一般的な歯のグラグラ度の判定
1度 : 歯が前後方向に軽く動く。
2度 : 歯が前後だけでなく左右方向にも動く。
3度 : 歯が垂直にプカプカと垂直に動いている。

1度くらいであればあまり深刻に考えなくてもいいかもしれません。
2度まで行ったら歯周病が中〜重度まで進んでいると思われます。
3度では抜歯を覚悟しなければなりません。たとえ抜歯しなくても自然に抜け落ちるでしょう。

ただ例外として、歯自体が割れたり折れて動いている場合もあります。この場合はグラグラ度の判定の対象とはなりません。



5.レントゲン写真
レントゲン写真で骨がどれくらい溶けているか判断します。


健康な場合のレントゲン写真。

歯の周りの骨がしっかり白く映っています。



歯周病の場合のレントゲン写真

歯の周りが黒くなって骨が溶けているのがわかるでしょうか。







歯周病の原因

1.歯垢
ずばり、歯周病の最大の原因は歯垢(しこう)です。
歯垢は文字通り歯の垢(あか)です。悪い言葉で言えば「歯くそ」。歯磨きで言うと「磨き残し」。
じつは歯垢の正体は菌のかたまりで、食べかすとは別物なのです。この菌が毒素を出して歯ぐきに炎症を起こすのだ。

また、菌にもいろいろ種類があるがここで悪さをしているのは歯周病の原因となる菌、いわゆる歯周病菌です。
歯周病菌は酸素を嫌うので、歯ぐきの中にこっそり潜んでいます。
これに対しむし歯菌は酸素が好きなので、堂々と歯の表面に住み着いて歯を溶かしていきます。

つまり、つまりですよ。。。歯垢が原因ってことは元をたどれば歯磨きの仕方が悪いという結論に達します。



2.歯石
じつは歯石も元々は歯垢だったと知ってました?
歯垢がずっと歯の表面に残ったままでいると唾液中のカルシウムやリン酸と結合して硬くなっていく。
そして歯ブラシでは取れないほど硬くなってしまったものが歯石です。
つまり、歯垢が軟らかいいうちににきちんと歯ブラシで除去すれば歯石はつかないということになる。

歯石は歯垢と同様歯ぐきに炎症を起こす原因となりますから、早めに歯医者さんに行って取ってもらいましょう。




3.喫煙
喫煙は血管を収縮させて歯肉の血行不良を引き起こします。そして歯周病菌に対する抵抗力を低下させます。



4.歯並びが悪い
歯ぐきに異常な負担がかかったり、磨き残しができやすいため。



5.歯の修復が不適合
歯に合わない詰め物、かぶせ物、差し歯などがあると清掃不十分になりやすい。
要するに下手な歯医者さんにかかってしまったら…ってことですね。



6.食習慣
軟らかい物ばかり食べているお子ちゃまメニューが大好きな人、よく噛まずに食べる人は唾液の分泌が少ないので細菌が繁殖しやすい。
甘いものばかり食べている人も歯垢ができやすくなるし、偏食が多い人は栄養が不十分で免疫力が低下します。


7.悪い癖がある
@歯ぎしり
 歯ぎしりって寝ている間に起こるのにじつはすごい力がかかっているんですよ。この強い力が歯周組織に負担をかけているのです。
 でもこれは直せといっても自分じゃなかなか直せないですよね…。

Aよく歯を食いしばる
 スポーツをやっている方、重い荷物を運ぶ仕事の方に多いです。

B口呼吸をする
 最近よく見かけますよね〜ぽかんと口が半開きになっている子( ̄ o  ̄ ) 。
 口で呼吸する癖があると口の中が乾燥するのでそれだけ口の中に細菌が入りやすい環境になります。



8.病気や妊娠など、身体から
@糖尿病
糖尿病になると細菌感染に対する抵抗力が低下し、歯周病が悪化しやすい状態になります。


A妊娠、思春期、更年期
女性ホルモンの影響で歯肉に炎症をおこしやすいそうです。

Bストレス
ストレスが溜まっていると免疫力が下がってしまうんですよねぇ。溜めないようにしましょうと言われても難しいものだ。(^_^;

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歯周病の治療方法

1.プラークコントロール
私個人の意見としては、歯周病の最大の治療はブラッシングだと思っています。
歯磨きは自分が行うもの。つまり治療を行うのは歯医者さんでなく自分であると認識するべし。

いかにうまく歯垢を除去するか(これをプラークコントロールをいいます)が鍵となりますので、正しいブラッシング方法を身につけましょう。
自己流で磨いている方は一度歯科衛生士さんに上手な磨き方を教えてもらうといいかも。



2.歯石除去
歯周病の場合、歯石は歯ぐきの中の奥深くまでついているのでそこまで取ってもらう必要があります。
ただし、歯石は歯科医師か歯科衛生士に取ってもらうことをおすすめします。
助手が歯石を取ることは法律上禁止されているうえに、実習など経験していないので適当にやっている人が多く、取り残しがあったり歯に穴を開けたりというトラブルも起きやすいからです。

特に歯ぐきの中に隠れている見えない歯石は、熟練の歯科衛生士でないと残さず除去するのは難しいと言われています。
ブラッシング指導も含め、歯石を取ってもらうには歯科衛生士を選ぶのもポイントだと私は思う。

歯ぐきより上についている歯石
色は白っぽい。
見える場所なので取りやすい。


歯ぐきの中に隠れてついている歯石
ぱっと見あまりついていないように見えるが、実はけっこうついている。
色は黒っぽい。
見えない場所なので取るには技術を要する。




3.歯周外科手術
私個人としてはこれは好きではない。
歯ぐきを切ってめくれば歯の周りが完全に見える。そこで歯の周りの歯石とか悪いものを全部掻き出すというわけだ。

でも切ったらそれだけ傷になる。もちろん切った後は縫ったり傷を保護するパックなどしますが。
外科手術をした場合と歯石除去+プラークコントロールを続けた場合を比べても、半年後の経過を見るとさほど変わらないというデータもある。



★最後に私が伝えたいこと。
歯ぐきの腫れは治せますが、基本的に溶けてしまった骨は元には戻りません。
歯周病で骨が溶けてしまったら、それ以上溶けないよう進行を阻止するのが治療となります。
そして大事なのはメンテナンスです。歯石を取ってもらったらはい、それまでよ〜じゃ済まないのです。

近年の医療技術の進歩にはじつに驚かされます。
このあいだテレビで人間の身体の組織の再生治療に成功した例を見ました。
歯周病に関しても歯周組織を再生させる「再生療法」を行っている歯科医院がありますが、やはりまだ再生には限度があります。
もしかしたら、何年か後には歯周組織を完全に再生できる治療の時代がやってくるかもしれませんね。




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