ゴマシジミ
       
ゴマシジミは東日本を中心に広く分布しています。しかし、その生息数は決して多くなく、環境庁「絶滅危惧T類」、青森県「地域限定希少野生生物」に指定されています。青森県の津軽半島竜飛の個体は独特の斑紋をして分類学上とても貴重です。岩木山はゴマシジミの宝庫として知られています。ゴマシジミの初期の餌のナガボノシロワレモコウが繁殖する豊かな草原が残されているからです。
夏、青森でねぶた祭が開催されるころ、ゴマシジミはナガボノシロワレモコウのツボミに産卵します。生まれた幼虫はまずツボミを食べて成長します。ここまでは、普通のチョウと変わりがありません。ところが、秋のある日、幼虫は突如アリを求めてさまよい歩き始めます。運良くシワクシケアリと出会った幼虫はアリによって大切に巣の中に運び込まれます。そして次の年の夏まで、奇妙な居候生活をアリの巣の中で送ることになります。この巣の中でゴマシジミはアリに蜜腺から出る甘い汁を与える一方、アリの幼虫を食べて成長するのです。
ゴマシジミがなぜこんな不思議な生活をはじめたのか、その理由はいまだに謎につつまれています。
   
この写真は2001年8月3日八甲田田代湿原にて撮影したものです。
ナガボノシロワレモコウに産卵中のゴマシジミです。
    
 環境省 RD  絶滅危惧 T類
 青森県 R.D 地域限定希少野生生物

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